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トランクルームにまつわる疑問を解決 
トランクルームのコンテナってどこから来たの?

トランクルームと聞いて、まず想像するのはコンテナが並ぶ風景ではないでしょうか。
今でこそコンテナと呼ばれますが、もともとは”規格化された巨大な箱“として誕生しました。そしてそれが20世紀の海運、運送業界にとっては革命をもたらすことになったのです。
トランクルームで使用されているコンテナは海上輸送で使用されるコンテナと同じなのか? はたまたリサイクルなのか?そんな疑問が湧き起こり、クラスル編集部は、トランクルームのコンテナを扱っている(株)デベロップにお話をうかがうことにしました。

お話をしてくださるのは…

profile

株式会社デベロップ 
執行役員 営業副本部長
石本 武
1972年3月生まれ
愛知県名古屋市出身 東洋大学卒業 
卒業後は証券会社に勤務しその後不動産業界に転身 現在千葉県市川市在住

「日本で見るコンテナは大きく分けて2つに分別されます。ひとつがISO(国際規格)の基準に則った設計となっている海上輸送用のコンテナ。もう一つは建築用のコンテナです」

海上輸送用のコンテナは、東京だと品川埠頭や大井のコンテナ埠頭などの近くを通る機会 があれば目にするのではないでしょうか。色とりどりの巨大なコンテナがズラリと並ぶ姿は圧巻で、そこにロマンを感じる人も多いようです。

この一般的なドライコンテナが海上輸送用の大きな箱として登場したのは、20世紀後半のアメリカでした。荷物を大量に収めるこの巨大な箱が生まれたことにより、世界の物流、海運は劇的な変化を遂げました。それがどの程度のインパクトをもたらしたかというと“20世紀の発明”のひとつに数えられるほどと聞けば納得です。当初は、現在も使用されている一般的なドライコンテナのみでしたが、あっという間に冷蔵、冷凍コンテナ、液体用のタンクコンテナなど海を越えて運ぶものに合わせたいくつかの種類のコンテナが誕生していきました。そしてたちまち世界をつなぐインフラへと成長していったようです。

つまり、この海上輸送用コンテナは世界中、統一された規格で作られているということが大きな特徴です。たしかにそれぞれの国で規格が違っていたら、それこそコンテナを引き上げるガントリークレーンも複数種類を用意しないとダメでしょうし、荷揚げも荷下ろしもたいへんな設備と負荷がかかってしまい、発想はいいけれど残念なものということになってしまったかもしれません。

ISO(国際規格)によって統一されたことで世界共通のインフラとなり、シームレスな物流が実現したのですね。そのISOでは、サイズ、強度、外形、番号制度などを統一しています。コンテナの大きさは20フィート(6,058mm)と40フィート(12,192mm)に大別されています。

構造面における建築用コンテナとの違いは、壁面を強度設計に組み込んで作られている点です。

そして海上輸送用コンテナの外形的な特徴としては、コンテナの角に穴が設けられていること。

これは、コンテナ船に積載して輸送する際にコンテナ同士がズレないよう固定するために使われる穴であり、またクレーンで持ち上げる際にこの穴に器具を通して吊り上げたりするのです。

そしてこのコンテナのメリットですが、構造がシンプルなため大量生産しやすいことだといわれています。石本さんのお話によれば「現在は中国がシェアNO.1 」なんだそうです。

輸送用コンテナのデメリットは、建物として使用する際に段積みすることができないことです。「また日本で海上輸送用から他の用途(家など)に転用する際には、日本のさまざまな基準や法令により制限が課せられます」と。どうやら日本で建物用として使用するには事前にいろいろとクリアしなければいけない点を抱えているようです。

「トランクルームなどでも使用されている建築用コンテナ。これは日本の規格や建築基準法に合わせて製造されているのです」

建築用のコンテナは、日本の建築基準法、JIS規格(日本産業規格)に基づいた設計になっています。つまり環境・衛生といった点と耐火、積雪、風圧、地震による倒壊の防止などを考慮されて製造されているというということです。
また建物として使用されることを想定した建築用コンテナの耐震設計は柱と梁で構造計算が行われています。海上輸送用の構造計算には壁面が入るということでしたから、この違いは何よりも大きな違いのようです。

建築用コンテナの利用メリットは、石本さんによると「建築用のモジュールで作られているので、段積みをすることが可能なこと」だそうです。たしかに上の写真のような2階建の姿は、トランクルームとしてもよく見かけるのではないでしょうか。

じゃあデメリットは?というと……。「前述の建築基準法やJIS規格などの制限があるためコンテナの製造元が限られていること」だそうです。そうすると競争がおきにくくなり、どうしてもコンテナの価格は海上輸送用と比較すると高くなる傾向にあるようです。

海上輸送用のコンテナと建築用コンテナの大きな違いはわかったので、日本における建築用コンテナの設置がどんな手順なのかをおうかがいしましょう。

「建築用コンテナの設置は、一般的な特徴として通常の建物の建築より短期間で完成できる点です。どんなふうに設置されるかは、弊社の例を参考にご説明します」(石本氏)

設置までの流れ

1. 製造の手配からコンテナモジュールの製造まで

この製造に関してはシェアNo.1の中国の中でも日本の国土交通大臣認定の(Rグレード)工場に発注をします。
製造現場は、自動車工場のラインと同じような感じです。写真のようにコンテナの下に車輪があって動かせるようになっています。
このラインの動きに沿って材料の金属板を切る人、溶接工資格をもった専門の従業員等が流れ作業で製品を完成させていきます。
塗装は最後に吹きつけますが、必要であればさらにロゴシールなどを貼って完成となります。

2. 中国から日本への輸送

日本の国土交通大臣の認定を受けた(Rグレード)中国の工場で製造したコンテナは船で輸送されます。日本の港に到着後は配送用の車で現場まで運びこまれます。

運び入れる現場によって、コンテナをおろす港が変わるのは当然なんですが、地方だと船の便が少ないため、納期によっては地方の案件用のコンテナであっても横浜などに陸上げしてから車で現地に運び込むこともあるそうです。

海外の工場で製造されたコンテナを船で輸送する際には、コンテナを5~6段積みあげるそうです。「上海から東京の場合は約3日、バンコクから東京の場合、約7~10日で届きます」

3. 短期間で完成する基礎工事

「コンテナ建築は一般の建築物より簡単に建築が可能なため、基礎工事が早くできるんです」、これも全体の工期を短くできるよい点です。

4. さあいよいよコンテナの設置(建築工事)

コンテナの設置方法には2種類あります。設置場所や設置する計画によって最適な方法を選択します。

■クレーンの場合

作業員の誘導により吊り上げておろすためほぼ的確に設置したい場所に置け、しかも設置時間は短くてすみます。しかし、道路など広い場所が必要ため、使用できる現場が限られるという制約があります。

■フォークリフトの場合

クレーンが使用できない狭い場所での使用が可能ですが、設置場所に対して細かい置き場所の調整が難しいといわれています。

5. 設置が完了しました

今回は、海上輸送用のコンテナと建築用コンテナの違いを中心にお話を聞きました。次回はそのコンテナを活用した建築など、コンテナの活用法についてです。

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