海外に暮らす人に聞いた、私の収納実践法
ニューヨーク編
まずは、ニューヨーク住宅事情
ニューヨークの中でもブルックリンは最近、人気が高い区域です。レント(賃料)は、マンハッタンほどは高くはありませんが、それでも日本に比べると高く、「なかなかブルックリンにも住めない」と嘆いているニューヨーカーもたくさんいます。
ブルックリンはもともと18〜19世紀にかけて多くの工場や倉庫などが立ち並び、産業地区として栄えて来た場所です。最近では新築のマンションも建てられていますが、古くからの建物をリノベイションして使っている住人がたくさんいます。工場などを改造して住まいにしたものが多いので、広々とした部屋の作りが多いのもブルックリンの特徴です。服や靴を収納するクローゼットも作り付けのものではなく、今回紹介するアーティストのアリさんのように、部屋の片隅を上手に使っているケースが多いようです。
住まいと収納してくださるのは…
子供のころから馴染んだヴィンテージ服をクローゼットに集めたブルックリンのアーティスト、アリさん
ビンテージクローズへの愛情は、おしゃれな環境とモノを大切にする暮らしに育まれた
アーティストで、非営利団体「ファッション・フォー・オール・ファウンデーション」の共同設立者であるアリさんが住んでいるのは、ブルックリンのクラウンハイツ地区。もう住み始めて15年になるそうです。
アリさんは家具、生活雑貨からファッションまでヴィンテージものが好きですが、それは子供のころからよく母親がフリーマーケット(蚤の市)に連れて行ってくれたことや、週末に訪れていた祖母の家の前に、ラルフ・ローレンのブティックがあったことなどが彼に大きな影響を与えたと語ります。
「そのラルフ・ローレンのブティックは、ファッションはもとより、家具などもセンス良くショーウィンドウに飾られていたので、僕もこれを作ると言ったのをよく覚えています」
現在はアーティストとしてペインティングや彫刻、ヴィンテージのデニムを使ったアート作品に没頭する毎日を送っているアリさんですが、ときには撮影用のプロップ(小道具)のスタイリストやアートディレクターとしてミュージックビデオの製作なども担当することも。また自宅に揃えたヴィンテージアイテムは撮影などで外部に貸し出していることもあるそうです。アリさんの自宅はテキサス州出身の有名ミュージシャンのジャン・パドゥのミュージックビデオの撮影に使われたそうです。
アリさんの自宅のインテリアは古き良きアメリカを彷彿させるもので、アーティストらしくヴィンテージの家具や雑貨が見事に調和しています。
レアなものも多いアリさんのヴィンテージクローズ。各アイテムはデザイン、テーマ別に整理したうえで収納
アリさんのヴィンテージ服でもレアなものは古着専門のディーラーを通して入手することが多いそうですが、マサチューセッツ州のブルムフィールドで年3回開催される大規模のフリーマーケットに通って見付けたものも多いそうです。クローゼットの並んだ服のなかでも、アリさんが特に好きなのは、デニムのワークウエアやアイビーリーグの学校などで着用されていたスポーツウエア、ラルフ・ローレンのヴィンテージアイテムやサンタ・フェで購入したネイティブ・アメリカン柄のアイテムなど。
几帳面なアリさんはヴィンテージアイテムをデザイン、テーマ別に並べているそうです。
ヴィンテージアイテム以外にも、クローゼットには1990年代のヘルムート・ラングやグッチのバッグなども並んでいますが、なかには日本の消防士が使う防災頭巾や下駄などもコレクションされていて、それらがきちんとグループピングされつつ置かれている様は博物館の展示のよう。
部屋にある赤茶色の棚は近所にあるナイジェリア系のモスクにあったものだそうです。そのモスクでは靴を入れる棚として使われていたらしいのですが、不用品として通りに捨てられていたものをリサイクルして使っています。
「見付けたとき、携帯電話でその棚の写真を撮って、デザイナーの友人に送ったら、絶対持って帰ってきたほうがいいと言われ、自分で運びました。とても重たかったけれど、部屋に置いて見たら、持って帰って来て本当によかったと思いました」
ヴィンテージの服に囲まれた棚は、とても不用品として捨てられていたとは思えません。コレクションされているヴィンテージのウエアやアート作品だけでなく、隅々にまでアリさんの卓越したセンスが感じられます。
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取材/長谷川安曇 編集/小暮昌弘 撮影/加藤里紗