トランクルームにまつわる疑問を解決 <後編>
コンテナってどんなふうに活用できるの?
トランクルームとしても使用されるコンテナ。最近はその工業的な持ち味を魅力だと感じる人も増え、お洒落な箱として注目を集め出しています。
建築用のコンテナを扱う株式会社デベロップの石本さんにコンテナの活用についてお話をうかがいました。
お話をしてくださるのは…
profile
株式会社デベロップ
執行役員 営業副本部長
石本 武
1972年3月生まれ
愛知県名古屋市出身 東洋大学卒業
卒業後は証券会社に勤務しその後不動産業界に転身 現在千葉県市川市在住
「最近、注目を集めているコンテナ建築の特長についてお話ししましょう」
期間限定のポップアップショップや、住宅などにコンテナが使われ出しています。海外では、コンテナのモジュールを生かしてブロックのように積み上げたアーティストの住宅やそれこそ40フィートくらいあるコンテナを海岸の目の前に置いただけのスタイリッシュな別荘などが誕生していて、雑誌などでも見かけるようになりました。
このコンテナが建築に使われる魅力について石本さんは「施工する上でフレキシブルであること、高いデザイン性、工期、持続可能となり得ることの4点だと考えています。それぞれを順番にかいつまんでご説明をしますね」と。
1.フレキシブル性に富んでいること
モジュールで組み合わせていくので、コンテナは普通の建物や住宅などに比べて増減築が容易にしやすくなっています。
これまでの日本の住宅は増築をするというアップサイジングの時代でしたが、少子高齢化の波を受けて段々とダウンサイジングの傾向が強まってきています。
つまり今後は、減築だけでなく、増築も容易に可能なコンテナを活用した住宅が増えていくことも考えられます。
またカスタマイズ可能で自由度が高く、壁を取ることも可能ですから、間取りも想像していたよりもはるかに自由にできます。
2.デザイン性
建築用のコンテナは、筋交いが少ないため自由度の高い設計が可能なんです。実際に、ドアや窓などの開口サイズを自由に設計できますし、他の建築物同様に全面ガラス張りも可能です。
Column
建築用コンテナの構造
海上輸送用との大きな違いは、ラーメン構造である点。「ラーメン」(Rahmen)とはドイツ語の「額縁や枠」と意味からきています。柱と梁による立方体の骨組みの接合部分を溶接などで一体化させる剛接合した構造形式のことです。空間も広くとれます。
ドアや窓の開口サイズも自由で、このような全面ガラス張りも可能なので、ショールームなどにも適しています。
コンテナがもつもともとの形状や外観などをデザインに活かしてスタイリッシュな建物にすることも可能です。
外装、内装、共に特に制限が生じるわけではなく、壁紙や床材なども自由に施工することができます。また、外枠としてコンテナを現場に設置後、在来工事で屋根を付けるなど在来工事との組み合わせができるというのも魅力になっています。
3.工期について
従来の工法では確認申請承認後に施工をしますが、株式会社デベロップでは、これまでの経験と知識から確認申請中からコンテナを工場で作ってしまい、確認申請が通った後速やかに現場でコンテナモジュールの組立を行えるようにしています。そういった努力もあって在来軸組工法と比べて短期間で工事が完了するようになっています。
そのために海外にある日本の国土交通大臣認定(Rグレード)工場と提携して、外壁・屋根などの施工を工場出荷前に完了しています。
4. 持続可能性と環境配慮への評価
・移設できる!
コンテナを利用した店舗等の移転は、コンテナを解体することなく内装もそのままにコンテナごと移設できるのでリーズナブルです。
・再利用できる!
あまり知られていない再利用の例として、コンテナモジュールの柱と梁に当たる部分を燃料タンクなどを養生するためのフレーム(箱)にしたりします。
・廃棄物を低減できる
コンテナの場合は建物ではないため解体が不要。そのためごみが出ず、環境に優しいと言えるのではないでしょうか。
コンテナの活用で、高架下に新たな空間が誕生!
JR 中央線東小金井駅が高架化されるのをきっかけに高架下の開発が実施され、コンテナを採用した商業施設がつくられました。コンテナでこのように素敵な活用もできます。
コミュニティステーション東小金井
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写真提供:株式会社デベロップ
文:柿谷紅子